就任2年目の日本ハム・新庄剛志監督。春季キャンプでは新庄監督の雰囲気がガラリと変わったという。
スポーツ紙記者は、こう語る。
「ピリピリした雰囲気が漂って、笑顔が少なくなりました。ただ悪い意味ではなく、勝負師としてチームが新たなフレーズに入ったことを発信しているように感じます。昨年は勝負を度外視し、若手の育成に徹した部分もあった。今年は本拠地をエスコンフィールド北海道に移転し、本気で頂点を目指している」。
昨年は開幕前に新庄監督が「全員に平等にチャンスを与える」と明言した通り、支配下の日本人選手全員が1軍の試合に出場した。その中で松本剛がプロ11年目で初めて首位打者を獲得して大ブレーク。昨季1軍試合出場なしに終わった清宮幸太郎も大幅な減量で体のキレを取り戻し、打撃フォームの改造に踏み切りチームトップの18本塁打をマークした。万波中正、今川優馬とパンチ力が魅力の若手たちもキャリア初の2ケタ本塁打をマーク。投手陣はドラフト8位右腕・北山亘基が新人でリリーバーとして奮闘したほか、根本悠楓、鈴木健矢、吉田輝星、北浦竜次と若手が頭角を現した。
9年ぶりの最下位に沈んだが、手ごたえを感じたのだろう。昨年の本拠地最終戦のセレモニーで、新庄監督は「来年は2位も6位も一緒です。日本一だけを目指して、ブレずに戦っていきたいと思います」とファンの前で宣言。札幌ドームに詰めかけたファンから大きな拍手を浴びたが、スポーツ紙デスクは厳しい見方を示す。
「まだまだ発展途上の選手が多く、チームが成熟するのは時間がかかります。タラレバになってしまいますが、近藤健介が昨オフにソフトバンクへFA移籍したのが大きな痛手です。近藤は先輩、後輩問わず人望が厚い選手で、勝利の味を知っている数少ない選手だった。その経験値は代えがたいものだし、打線の中心を担っていた選手なので簡単に埋まる穴ではない。また、気になるのは日本ハムの野球に緻密さが欠けていることです。内外野で若手たちが実戦で活躍してアピールしていますが、攻守でまだまだプレーが不安定ですし、ミスが起こると連鎖反応を起こす。ポテンシャルの高い選手は多いですが、プレーの精度を上げないと白星を積み重ねられない。このままだと新庄監督の気合が空回りして、長期の暗黒時代にハマってしまう恐れがあります」