さわけんさんが机に並べたのは、フィレ、ブロック、ミンチ、三つの形状の大豆ミート。すぐに使える戻さないタイプもあるが、乾燥タイプが一般的だ。見た目は正直、おいしそうではない。香りをかぐと、大豆臭がするような、しないような……。
乾燥タイプは、ぬるま湯で戻してから使う。戻すと2~3倍にカサが増す。前出の苅谷さんの言葉「戻すのにコツがいるので、挫折してしまう人もいる」を思い出した。さわけんさんも「ここが頑張りどころ」と強調。さわけんさんの手元を見ると、ぬるま湯で軟らかくなった大豆ミートを、流水の中で軽く握っては離しを繰り返している。
「大豆ミートは高野豆腐のように、中がスポンジ状になっています。こうやって流水で押し洗いすることで、大豆ミートの大豆臭をしっかりとることができます。おいしく食べるためには、この作業をおざなりにしてはいけません」
戻した大豆ミートは絞って水気を取り、下味をつける。
大豆ミート、香ばしさはあるものの、旨味は少ない。どんな下味をつけるかで、料理の味が変わるという。さわけんさんによると、下味のポイント一つめは、香りを加えること。おろし生姜、おろしにんにく、ゆず七味、カレー粉、クミンなどを使い、「大豆臭を消す」。二つめは、「醤油+おろし生姜」といったように複数の調味料を使う場合、調味液をよく混ぜてから使うこと。ムラなく下味をつけられる。三つめは、大豆ミートに調味料をかけたらスプーンなどでギュウギュウ押す。しっかり下味を吸わせるためだ。
さわけんさんに大豆ミートにおすすめの下味を聞いてみた。
テッパンは、「醤油+おろし生姜+おろしにんにく」。オイスターソース、バーベキューソース、焼き肉のたれも相性がいい。それぞれのソースに鶏のだし汁を加えると旨味がぐっと増す。
ちなみにオイスターソースやバーベキューソースは市販品で十分だが、菜食志向なら、ネット上に公開されているベジタリアン向けのオイスターソースやバーベキューソースのレシピを参考にするといい。
ミスマッチな下味は?
「塩だけだと、旨味に欠けます。それから、大豆ミートの定番レシピ、唐揚げには、カツオ風味のだし醤油は合いません」