徐々に普及してきた大豆ミート。下味と調理法によって鶏肉風から牛肉風、豚肉風、カエル風までアレンジ自在、ガッツリ派にもヘルシー派にもうれしい仕上がりにできるという。料理研究家のさわけんさん協力のもと5種類の大豆ミート料理を検証した。AERA2020年3月2日号から。
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健康志向や環境保護の意識の高まりを受け、大豆を加工し、“肉”のように調理できる大豆ミート(ソイミート)がじわじわ普及している。
大の肉好きである記者(45)のいわゆる“肉もどき”初体験は、17年前。ゆでた大豆にクモノスカビを植え付け発酵させた「テンペ」がアメリカで人気と聞いて購入。生姜と醤油でステーキ風にして食べたが、「味気ない」が正直な感想だった。
だが、大豆ミートは一味違うらしい。ファストフード店・ロッテリアでは、大豆ミートをパテにした「ソイ野菜ハンバーガー」を昨年5月に発売。7月下旬までの期間限定だったが、好評につき延長、10月からモーニングメニューで販売している。
食肉業界最大手の日本ハムは、3月1日から大豆ミートのソーセージやハムなど5品を発売。2015年から業務用を出していたが、一般向けは今回初だ。「肉に近い食感や風味のおいしい大豆ミートがようやくできた」と広報担当者は話す。
30年前から大豆ミートを取り扱う菜食食材専門店「かるなぁ」の苅谷萌さんによれば、15年にマルコメが「ダイズラボ」ブランドを立ち上げて以降、認知度が高まり、ベジタリアン以外の客が増えたという。
「肉と同等か、場合によっては肉以上に高タンパク。そのうえ肉に比べて低脂質。若者を含め、幅広い年齢層に受け入れられています」(苅谷さん)
とはいえ、しょせんは大豆。肉らしさを期待して食べたら、かえってがっかりするのでは?
「大豆ミートを使って、肉大好きの舌をも満足させられる料理を作ってほしい」と協力を仰いだのは、本誌でもすっかりおなじみ、科学する料理研究家のさわけんさん。辻調理師専門学校で11年間西洋料理を教え、フランスの二つ星店に勤めた経験もある本格派だ。
「大豆ミートには、いろいろな形状があります」