医学部入試の女性差別の発覚に、#MeTooや#KuTooの動き。男女差別にノーという機運は高まったが、日本の男女格差指数は世界121位。国際女性デーを前に、女性がどうしたら自分らしく生きられるのか、聞いた。AERA 2020年3月9日号では、フリーとして活動することを決めた元テレビ朝日アナウンサーの竹内由恵さんや、リクルートで執行役員を務める瀬名波文野さんら、自分らしく働く女性たちを取材した。
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バラエティー番組でお茶の間を明るくしていたかと思えば、真剣な顔つきでニュースを読む。「アナウンサー」として求められる役割に徹した。スポーツの試合に足しげく通って勉強するうちに、スポーツ関連の仕事も増えた。
「ガツガツしていたんです」
竹内由恵さん(34)は、2019年にテレビ朝日を退社するまでの11年間をそう振り返る。
「最初の頃は担当番組も少なくて、仕事がほしかった。頑張らなきゃ、認められなきゃと必死でした」
同僚や友人から「仕事人間。ギラギラしている」と言われたことも一度や二度ではない。だが、30代に入ったとき、ふと「結婚」の2文字が頭をよぎった。
「20代と30代では見えている世界がまるで違ったんです。仕事、結婚、子育てとうまくバランスを取っていくのはチャレンジングだと感じています」
最初に立ちはだかったのが「住居」の壁だった。夫のいる静岡か、勤務地の東京か……、人生の岐路に悩んだ末、テレビ朝日の退社を選んだ。
夫以外、知り合いがいない土地へと移り住んだ。暮らしは楽しかったが、小さな違和感が芽生えた。
「仕事がない生活が初めてで、空いた時間をどう過ごせばいいのかわからなかった。一日中、手持ち無沙汰でした」
平日も休日も同じ直線上にあるような味気のなさ。働いていた頃は、週末が来るたびに解放感があったのに。そう悶々とする竹内さんを見た夫が、仕事の再開を提案した。今年2月、フリーとして再出発することにした。
「仕事を頑張りたいという理由で結婚や出産に消極的になる人が周りにも多くいます。かつての私もそうでした。結婚から子育てまで全部やってから職場復帰しようと思うと途方もない歳月がかかってしまうんです」
だから、仕事もプライベートも同時にやりたいことをやってみればいいんじゃないかと思うようになった。「こうじゃなきゃ」というやり方を変えて、柔軟に両立していく道を探していけばいいと感じる。