

AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:この年齢になってから発達障害の診断を受け、離婚や解雇など生きづらかった自分の半生の謎が解けました。職業訓練などの支援を利用し、人生リスタートしようと思います。就活は年齢的に厳しい場面もあり、心が折れそうになります。就職の選択肢を増やすため、都内に転居も考えています。2020年に希望はありますか?(女性/求職中・シングルマザー/60歳/さそり座)
A:すべての悩みごとがそうですが、前向きと不安は絶対にセットなんです。「こうしたい」「未来をこう変えたい」という気持ちが出てくると、それに対して「でも……」という不安が出てくる。
新しい道を自分なりに歩んでいくとき、わからないことや未知のことが必ず出てきます。そこに不安を感じるのは、脳の役割なんです。
ご相談を読んで思うことがあります。僕は「発達障害」という言葉はもっと世の中に知られるべきだと思う。本人も周りもネガティブに扱いがちですが、そもそも「普通こういうことできるでしょ」とされていることが、全員できるとは限りません。「普通こういうことできる」の強迫観念や幻想が今の世の中強すぎて、多くの人が悩んでいます。
でも、できないことがあるということは、得意なこともあるはずなんです。そこをお互いにもう少し助け合えたら、素敵だと思うんですよね。
大事なのは、できないことも含めて新しい自分を知っていくこと。不謹慎に聞こえるかもしれないのですが、楽しんだ者勝ちです。これができない、も含めて自分。それを知って楽しめるかどうか。
そしてスタートのときには、「今すでにできること」、100点じゃなくてもいいから「できたこと」をちゃんと記録することも必要です。新しい未来に向かっていくとき、「できないこと」や「これさえできれば」を増やしすぎると前に進めなくなってしまうので注意してください。