![今西由加さん(47)、小池潤弥さん(13)/由加さんは、都内で英語教育やグローバル人材を育成する事業を展開する。潤弥さんは、母の入院と自身の中学受験が重なったが、無事に合格した(撮影/写真部・掛祥葉子)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/840mw/img_efe866cd747254ba0fe9c8053037cc0f96936.jpg)
![キャンサーペアレンツ代表理事 西口洋平さん(40)/大手人材会社の営業職として働いていた2015年、胆管がんと診断される。翌年、仕事と抗がん剤による治療を続けながら、「キャンサーペアレンツ」を設立(撮影/写真部・加藤夏子)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/b/5/840mw/img_b512d289db57c6bde696ac23883ab93b92212.jpg)
がんは2人1人が経験するともいわれ、もはや珍しい病気ではない。もし身近な人にがんが見つかったらどうすればいいのか。AERA2020年2月10日号では「がんと家族」を特集。子どもにどう伝えたらいいのかを事例をもとに考える。
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子どものグローバル教育を支援する「キュリオジャパン」代表の今西由加さん(47)は、18年秋、乳がんの告知を受けた。両胸の腫瘍は、ともに初期段階だった。
いざ、息子に伝えるとなると、ためらいもあった。長男の潤弥さん(13)は、家族にがん経験者がおらず、身近に患者と触れ合う機会はなかった。ましてや当時は、中学受験の本番を控えたナーバスな時期だった。
夫の小池章文さん(50)と夫婦で話し合ったのは、まず、「子どもにいつ伝えるか」。夫は、時期的に伝えなくてもいいのではと言ったが、今西さんは「長く付き合う病気。隠し通せないし、後でわかるなら、最初から伝えたい」と言った。
妻の希望を取って、手術日が確定して見通しが立った時点で伝えるという方針が固まった。
次に「どう伝えるか」。子どもにはがんという言葉が重いと考え、今後続く入院、手術を乗り越える家族プロジェクトに仕立てた。その名も「BCP(Breast Cancer Project)」。今西さんがホワイトボードにこの横文字を書き、プレゼン形式で伝えることにした。
告知から2週間後の週末、夕食後に「お母さん、乳がんって病気になったんだ」と今西さんが切り出した。ボードで説明を始めた途端に、息子は言った。
「全部知ってるよ。お母さんがネットで検索していたキーワードが、全部乳がんだったから」
息子のiPadと自分のiPhoneはデータを同期していたのだ。今西さんは動揺した。
「え、知っていて黙ってたの?」
息子は小学生なりに、自分の行動や雰囲気を察して、いろいろ考えていたんだと知った。潤弥さんは、当時を振り返る。
「初めて検索履歴に『乳がん』という言葉を見つけた時は、万が一の備えかと思っていました。けれど検索が増えていって、ああ、乳がんなのかもなと。伝え方は少し奇抜だったけれど、母が本当のことを言ってくれて、僕はよかったと思っています。治療すれば大丈夫なんだとわかって、安心できましたから」
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