工房で眠る八郎の唇に、三津がキスを挑んで超接近。八郎、目を覚ます。キス未遂。ややあって八郎、三津にごく遠回しに「なかったことにするよ」と優しく告げる。三津、工房を去る。

 心に“すき”はありながら、女子との関係を踏みとどまった八郎。三津は冒頭にも書いたが24歳。唐田えりかさん(22)は東出さんとの出会い時、未成年。キス未遂時、八郎の妻・喜美子は陶芸に驀進中。杏さん、東出さんと唐田さん接近時、妊娠中。三津の弟子入り期間、1年未満。キス未遂、一瞬。東出さんと唐田さん、3年。八郎、家事能力高く、息子の寝かしつけその他に積極関与=昭和のイクメン。東出さん、「ほとんど何もしてないのが本当のところ」(夫婦を知る芸能関係者)。

 と、東出さん関連はすべて週刊文春の受け売りだが、世間のワーキングマザーなどの怒りっぷりもわかるというものだ。

 なお冒頭で、八郎さんが出ていったと書いたが、これは三津とは無関係。気になる方は、「スカーレット」をご覧ください。

 最後に申し上げたいのだが、朝ドラファンは不倫を全く受け付けないかといえば、そんなことはないと思う。私が歴代ナンバーワン朝ドラと勝手に認定している「カーネーション」(11年~)は、ヒロインと妻子ある人との恋愛が描かれた。

 戦争で夫を亡くした洋裁店店主(尾野真千子)と、原爆で何もかもなくし大阪に来た紳士服職人(綾野剛)の恋愛。2人の気持ちが痛いほどわかり、幸福感の向こうに悲しみが待っていることも伝わってきた。出会いから別れまで、2人が登場したのはたった3週間。毎日、息をのむように見続けた。

 ドラマと現実は違う。にしても東出さんが描いた「ドラマ」は、いけてないにもほどがあった。満身創痍の理由は、そこだろう。よい「ドラマ」を見せる。俳優の仕事って、それなのに。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2020年2月10日号

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