【車いすラグビー】池崎大輔/車いすバスケットボールから転向し、2010年に車いすラグビー日本代表に。悲願の金メダルを狙う日本代表のエース。東京大会の金メダル候補(撮影/写真部・松永卓也)
【車いすラグビー】池崎大輔/車いすバスケットボールから転向し、2010年に車いすラグビー日本代表に。悲願の金メダルを狙う日本代表のエース。東京大会の金メダル候補(撮影/写真部・松永卓也)
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 東京五輪招致のスピーチで、パラトライアスロンの谷真海選手が訴えた「スポーツの力」。スポーツは障害を持つ人の生きる希望になり得るという。AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号では、取材を通してパラアスリート選手達が語った「スポーツの力」を紹介する。

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 AERA本誌で2019年4月に始まった連載「2020─Paralympics─TOKYO」。東京パラリンピックで活躍が期待されるパラアスリートを紹介し、そのすごさと競技の魅力を見開き2ページの迫力ある写真と共に伝えている。

 取材の際に選手たちに聞いていることがある。13年、東京開催を決定付ける国際オリンピック委員会での最終プレゼンテーションで、現在はパラトライアスロン選手の谷真海が訴えた「スポーツの力」。東京2020組織委員会の大会ビジョンにも「スポーツには世界と未来を変える力がある」とある。アスリートたちはスポーツにどんな力を感じているのだろうか。

「スポーツが生きる力を与えてくれた」

 自転車競技の杉浦佳子(48)=楽天ソシオビジネス=の言葉は重い。

 薬剤師として勤務しながら趣味で自転車を楽しんでいた45歳のとき、レースで落車し、脳挫傷や粉砕骨折の大けがを負い、記憶や注意など認知機能に障害が出る高次脳機能障害や右半身のまひが残った。

「事故で障害を負った後、人の役に立ちたいと思って薬剤師になったのに、人の役に立つどころか迷惑をかけていくのかなと思って、どうやったら死ねるかなって考えていたんです。でも、もう一度自転車に乗りはじめ、応援してくれる方がいて、私のメダルをものすごく喜んでくれる方がいた。勇気をもらえた、と言ってくれる方がいた。その方々の喜ぶ顔を見て、生きててよかったと初めて思えたんです。もう一回喜ぶ顔を見たいな、次もがんばろうって」

 その思いが原動力になり、昨日の自分より強くなることを目標に掲げてトレーニングを続けてきた。18年にはロード世界選手権で2連覇するなど、その年最も活躍した選手として国際自転車競技連合の「パラサイクリングアワード」も受賞した。19年もロード、トラック両世界選手権で銀メダルを手にした。

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