一番のサプライズはオリジナル4の一角であり、唯一の国立大学、筑波の予選会突破だろう。100年目という節目の年。26年ぶりの第1回優勝校の運命的な出場だ。
弘山勉監督(53)は「達成感は半端なくある。本人たちもここまで行くとは思っていなかったなかで、一気に成長してなしとげた」と語る。同大学出身の弘山監督は、86~89年、4年連続で出場し、4年次には駅伝主将を務めている。
「箱根駅伝を見ながら寂しい思いをしてきた。筑波を箱根の舞台に戻したい。卒業生として、陸上部の先輩として、後輩たちに箱根を走ってもらいたいという思いです」
「陸上競技マガジン」を中心に20年にわたり箱根駅伝を取材しているスポーツライターの和田悟志さんはこう語る。
「近年は予選会の盛り上がりもすごく、伝統校でも予選突破が難しい状況です。一方、2011年創部の東京国際が予選会トップ通過。創部どころか大学が開学2年目の育英大学が関東学生連合チームに1人選手を送りこむなど、新興校の台頭も相変わらず著しいです」
とはいえ、強豪校は強い。東海大学で3年連続区間新記録を出した佐藤悠基(33、日清食品グループ)、マラソンの日本記録保持者である大迫傑(28、Nike)が輩出した佐久長聖高校(長野県)を全国トップレベルの強豪校に育て上げた両角速監督(53)率いる東海は層が厚く、青学も勢いが出てきた。
「その一秒をけずりだせ」を合言葉に、若い酒井俊幸監督(43)が率いる東洋は往路に強く、駒澤は安定している。駒澤は中村匠吾(27、富士通)、東洋は服部勇馬(26、トヨタ自動車)とOBが19年9月のマラソングランドチャンピオンシップで東京五輪代表に内定したのも追い風だろう。
そんな中、和田さんは前回5位の帝京に注目する。
「爆発力はないですが、全体的な層が厚いです。往路で4~5位につけていれば、復路は面白い。往路重視の傾向にあって、帝京は復路もちゃんとやるという印象があります」
(編集部・小柳暁子)
※AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より抜粋