GPファイナルのフリーで渾身の演技を見せる羽生結弦 (c)朝日新聞社
GPファイナルのフリーで渾身の演技を見せる羽生結弦 (c)朝日新聞社
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 イタリア・トリノで開催されたグランプリ(GP)ファイナルで、ミスが響き準優勝に終わった羽生結弦選手。米国のネイサン・チェン選手に大差をつけられ敗れたものの、羽生選手が前人未到のクワッドアクセルを完成させる時は目前に迫っているという。AERA 2019年12月23日号の記事を紹介する。

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 3年ぶりにグランプリ(GP)ファイナルの舞台に戻ってきた羽生結弦(25)。開催地はイタリア・トリノ。憧れのエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)が圧勝し、荒川静香が日本選手初の金メダルを獲得した2006年のトリノ五輪。当時11歳だった羽生は、その姿を目に焼きつけた。そして、約14年の月日を経て、五輪連覇の称号と共にその地に降り立った。

 ファイナル開幕前日。羽生は公式練習に臨んだ。リンクの壁面には大きく五輪マークが描かれている。記憶をひもとくように、羽生はリンクを見渡した。

「ここ見ていたところだなって思って。本当はアップ前に見に行こうかなと思ったんですけど、アップする時にワクワクが止まらなくて」

 氷の感触も気に入った。

「本当に楽しいって思えるくらい好きで。若干、緩いかなとは思うんですけど。なんか、そのくらいの方が自分は好きで。自分が好きな氷だなって勝手に思いながらやっていました」

 今大会は羽生と米国のネイサン・チェン(20)の直接対決に注目が集まった。羽生は11月のNHK杯で圧勝し、ファイナルに向けて対抗心を隠さなかった。

「ネイサン選手との戦いとしか思っていない。とりあえず、優勝したい。やっぱり、結果はすごく大切なので」

 3月に埼玉であった昨季の世界選手権で、20点以上差をつけられて敗れた。それ以来の対戦。羽生はメラメラと燃えていた。

 迎えたショートプログラム。チェンは4番、羽生は最終6番滑走だった。チェンは冒頭に4回転ルッツを決め、トリプルアクセル、4回転-3回転の連続トーループジャンプも成功。スピン、ステップも最高のレベル4を獲得し、完璧な演技で自己ベストを更新する110.38点をたたきだした。羽生は言う。

「(チェンの得点は)頭に入っていました。もちろん意識はありましたし、ま、ちゃんとやれば超えられる可能性はあるって思ってたんで。ちゃんとやろうっていうか、ま、きれいな演技すればいいやって。わりと開き直れていた」

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