SNSに投稿された一枚の写真をきっかけに、映画主演まで果たした。新世代のスター、YOSHIさんがAERA 2019年12月23日号に登場した。
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「今の世の中って、感謝とガッツが足りないんです。自分のために怒ってくれているのに、すぐふてくされる」
昭和オヤジの嘆き、ではない。「フェイクの多い時代になった」と息巻くのはアーティストのYOSHI。2003年生まれの16歳だ。
インスタグラムのフォロワーは約12万人(12月現在)。ファッションや音楽、アートが好き。13歳でルイ・ヴィトンのディレクター、ヴァージル・アブローに独自のファッションセンスを称賛され、モデルデビューを果たす。今年5月にはミュージシャンとしてアルバムをリリース、9月に公開された映画「タロウのバカ」では演技未経験ながら主役に抜擢され、菅田将暉(すだまさき)ら実力派俳優にも引けを取らない存在感を見せた。
「オーディションでは監督(大森立嗣(たつし))に『たっちゃん、いいね~! よろしくお願いします!』みたいな感じで会いに行って。なんか、僕からハートを感じるらしいんですよね。感じますか?」
誰に対してもフラットで、気取らない。AERAの表紙フォトグラファー、蜷川実花を「実花ちゃん」と呼び、距離感ゼロで撮影に臨んだ。
「年齢やキャリアが違っても、同じ人間です。行動で相手に向き合いたいって思っています」
ジミ・ヘンドリックス、カート・コバーン、矢沢永吉……。伝説的ミュージシャンの名前が次々に飛び出すが、10代にとってど真ん中ではもちろんない。当時のレコードや雑誌、映画から受け取った「熱狂」が、YOSHIを突き動かしている。
「何でも簡単に手に入った気になるから、ロマンが薄れてきた。それを思い起こさせるのが僕の役目かなと思っています」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2019年12月23日号