グラフは早稲田塾の資料をもとに作成(週刊朝日 2023年3月3日号より)
グラフは早稲田塾の資料をもとに作成(週刊朝日 2023年3月3日号より)

■国公立大で進む総合型選抜導入

「探究」のような多様な学習の成果を入試に生かす大学も増えている。

 22年度に総合型選抜を導入した国公立大学は102大学335学部。募集人員は7413人と過去最高だった。一方、一般選抜の募集人員はこの10年間で2663人減った。私立大学の21年入試では、総合型選抜の志願者が延べ3万5184人増えたが、一般選抜の志願者数は同54万7852人減った。

 桜美林大学が今年度入試から始めたのが「探究入試Spiral」。入試方式は三つあり、最もスタンダードな「プレゼンテーション型」では、探究学習の報告書や、論文・発表記録などをもとに書類審査と面接の2段階選抜で合否を判定する。

 同大では、7年ほど前から高大接続プログラムを実施。高校生が自ら現場に足を運び、専門家の話を聞きながら課題設定からまとめまでのサイクルを経験する「探究」のプログラムを提供してきた。19年には「探究」の視点を採り入れた新たな入試制度を導入すると決め、立命館宇治(京都府宇治市)、ふたば未来学園(福島県広野町)など「探究先進校」といわれる高校の教員らと2カ月に1度のペースでオンライン研究会を重ねてきた。

 そうして完成したのが「探究入試Spiral」だ。探究活動の成果を直接評価するスタイルを選んだ背景について、同大の高原幸治・入学部部長はこう説明する。

「研究会では『探究活動の成果を大学の規格に合わせて生徒にまとめさせる作業が大変だ』という声が高校の先生方から多く聞かれました。本学の受験者層を踏まえても、あまりに独自色の強い試験を設けると、かえってハードルが高まりかねません。そのため、誰しもがチャレンジできるような制度を構想しました」

 同大の入試でもう一つ特徴的なのは、評価基準を公開していることだ。

 探究活動のプロセスを「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の四つに分け、それぞれの評価視点と「主体的に取り組む力」「自己を分析し、変容する力」など全体に関する計10の評価視点をホームページで公表している。理由を高原さんはこう語る。

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