グラフは早稲田塾の資料をもとに作成(週刊朝日 2023年3月3日号より)
グラフは早稲田塾の資料をもとに作成(週刊朝日 2023年3月3日号より)

「総合型選抜がまだ『AO入試』と呼ばれていた時代から、『生徒の合否がどう判定されるかわからない』という疑問の声が高校の先生から根強くありました。探究入試についてもそれは同じです。評価基準がブラックボックスというのは、受験生と高校の先生の双方にとって誠実ではないと思い公開を決めました」

 総合型選抜に限らず、一般選抜でも「探究」の視点を取り入れる流れが生まれている。

 東京都市大学は23年度の入試から、理工学部6学科の一般選抜で「探究総合問題」の出題を始めた。同大によると、「特定の教科・科目に限定されずに、『思考力・判断力・表現力』を評価する総合的な問題」のこと。本番の入試に先立って公開されたサンプル問題では、それぞれの設問の上に「国語、地理歴史、公民」など、関連する科目名を記載。ブロックチェーン技術に関する論文をもとに著者の主張を読み解いたり、英語版の「情報通信白書」の抜粋を読み適切な要約内容を選んだりする問題を掲載する。

 制度の導入背景について、小澤亮賀・入試センター課長はこう話す。

「高大連携の重要性が叫ばれるなかで、『国語』『英語』といった画一的な入試科目から脱却する必要性を感じていました。21年に早稲田大学の政治経済学部で学部独自の『総合問題』を課す動きが始まったことも、学内の機運を高める後押しになりました。ただし多くの私大では、入試制度を抜本的に変えてしまうと受験生への理解促進に時間を要します。そこでまずは一部の学部でオプションとして独自問題を取り入れることから始めようということになりました」

 このような大学側の動きについて、前出の三浦学苑の佐々木教諭は言う。

「探究の視点を取り入れた入試が実施されるようになったことは好意的に受け止めています。ただし、通常授業と並行して『探究』の科目を受け持つ教員にとっては、変化に追いついていくのが大変な面もある。高校と大学や地域がより連携できるような状況が望ましいですが、場所などの制約もありハードルは高い状況です」

 現場の教員が抱えるこうした悩みの受け皿となっているのが予備校だ。

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