一方で、たくさんの人が手を差し伸べてくれた。水につかったストーブは灯油販売店を営む知人が持ち帰り、分解清掃してくれている。洗浄剤や消毒液、大量の雑巾を持って駆けつけてくれた人がいた。掃除を手伝ってくれた人、差し入れを持ってきてくれた人、私たちが作業している間、0歳の息子を見ていてくれた人もいる。災害で大切なのは「自助」「共助」「公助」と言われるが、特に共助の大切さ、ありがたさが身に染みた。
ようやくリビングの清掃が終わった。廊下、キッチン、風呂、倉庫と先は長い。いまは勢いで捨てられているが、やがて喪失感に襲われるかもしれない。それでも、一歩一歩日常を取り戻していこうと思う。(編集部・川口穣)
※AERA 2019年10月28日号