AERA 2019年9月30日号より(イラスト/中村純司)
AERA 2019年9月30日号より(イラスト/中村純司)
AERA 2019年9月30日号より(イラスト/中村純司)
AERA 2019年9月30日号より(イラスト/中村純司)

 自分を試してみたい。でも不安はある。「人生100年時代」に一度や二度は突き当たる転職という壁。だが時代は変わった。採用トレンドで今アツいのは「四つのS」だ。

【図を見る】「ソーシャル型」「スカウト型」に続く残りの「S」とは…

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<ZOZOの方も、BANKの方も教育業界に挑戦してみませんか?>

<bank、zozoにいた方は役員面談から行いますのでご連絡ください!>

 12日朝、ヤフーによる電撃的なZOZOの買収と前澤友作氏の社長退任が公表され、立て続けに同日昼、物を即時に現金化する買い取りサービスで一躍話題となった「CASH」を運営するバンクの解散が表明されるや否や、ツイッター上で人材募集がざわつき始めた。異業種からも即座に反応が示されるなど、買収・解散に端を発する人材獲得合戦が始まったのだ。

 転職の波は、いま大きく変化している。

 仕事に多様性が求められる時代に、同業種や同職種への転職だけを求めるのは、もはや過去の話。異業種や異職種に活躍の場を求める人が増えている。

 同時に、採用のトレンドも変わりつつある。ネットを駆使するものもあれば、人のつながりや縁故を現代風にアレンジした方法もある。アエラでは採用の新潮流ともいえる「ソーシャル型」「スカウト型」「スクラム型」「スライド型」の四つの「S」に注目した。

 冒頭のケースは「ソーシャル型」の一つだ。「エンジニア募集」と打ち出し、採用ページに誘導するツイートもあれば、「いいねを押した方に連絡します」というラフなものも。転職者向けに作りこまれたポータルサイトとは違い、転職にかかわる情報の密度はさまざまだ。

 人事・戦略コンサルタントで『「いつでも転職できる」を武器にする』の著者でもある松本利明さんが言う。

「ツイッターやフェイスブックでの投稿内容はもとより、交友関係を見ることで応募者の人となりを知ることができます。共通の知り合いがいる場合や、思わぬ人物とつながっていることもある。ゆるさもちょうどいい。SNSを経由したほうが、お互いのハードルが下がります」

 ビジネスに特化したSNSの存在もこうした採用市場を後押しする。2012年にサービスを開始したビジネスSNS「ウォンテッドリー」の月間利用者数は259万人、登録企業数も3万2千社(19年8月)にのぼる。名前や職歴、スキルといった入力項目は従来の就職ポータルサイトと同じだが、年収や雇用形態といった条件面の記載はない。企業側にも堅苦しさはなく、「まずは話を聞いてみたい」といったゆるさを受け入れる。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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