冷蔵技術が発達していなかった江戸時代、赤身のマグロは傷みが早く、敬遠されていました。現代では超高級食材のトロでも、脂ばかりで猫も食べないということで、猫マタギと呼ばれていた時期もあったほどです。
また、マグロの別名シビが「死日」と通じるので、縁起が悪いということで武士たちからは敬遠されていました。この「縁起の悪さ」が、マグロがあまり出世魚と呼ばれない理由のようです。
位置づけが微妙なのが、コノシロです。
コノシロは、シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロと呼称が変わっていきます。
実はコノシロは、小さいほうが人気で商品価値が高いんです。江戸前寿司の人気ネタのひとつにコハダがありますよね。骨を残したまま酢で締めて寿司にするんですが、コノシロクラスになると、骨が太く硬くなり、非常に食べにくく、骨が細くて柔らかいシンコやコハダクラスが重用されています。
ということで、コノシロを出世魚と呼んでいいのかどうかは、意見が分かれています。
我々会社員も、平社員に始まり、係長→課長→部長→役員→社長と呼称は変化していきますが、それに伴って中身もその名称にふさわしいものになっていかなければ、本当の意味での出世とは言えないのかもしれませんね(苦笑)。
そんな難しいことはさておき、まもなく秋の昇進・昇格の時期という会社も多いと思います。そんな時は、皆さんで出世魚のお寿司でも食べながら、楽しくお祝いをしてみてはいかがでしょうか?
くら寿司には、ブリ(ハマチ)も、ボラもイワシもありますよ(今はスズキのお寿司は販売していませんが、時期によっては販売しています)。
※AERAオンライン限定記事
◯岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当