「最初に情報をネットに発信した人は、主に承認欲求から投稿したのだと思います。宮崎容疑者にインスタグラムをフォローされている女性がいて、一緒にいる女と似た服を着ている。ということは、同じ人物の可能性がある。しかも見つけたことで『よくやった』とネット上で称賛される。間違っていたら削除すればいい。その程度のレベルで行ったものだと思われます」

 古今東西、デマや流言は情報の流通につきものだった。それがインターネット時代になり誰もが自由に発信できるとともに、情報はより広く、速く伝わるようになった。

 近年、ネット上で拡散された主なデマをピックアップした。災害時のデマが目立つが、冒頭で紹介した女性のほか、今年7月に起きた京都アニメーションのスタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、

<容疑者の男とNHKのディレクターが知り合いだ>

 というデマが流れるなど、深刻な人権被害になったデマも少なくない。法務省によれば、17年に人権擁護機関で受理したインターネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害などの人権侵害事件は2217件に上り、13年の957件から5年連続で過去最多を更新した。

 情報解析会社スペクティ(東京都千代田区)は、デマについて、(1)「オオカミが出た」などと騒いで世間からの注目を浴びたい「オオカミ少年型」、(2)外国人や特定の団体を混乱や災害に乗じてバッシングする「ヘイト型」、(3)単純に発信者の思い込みから広まる「勘違い型」、(4)情報が広がっていくうちに話に尾ひれがついてデマになる「伝言ゲーム型」の、四つのパターンに分類している。

「オオカミ少年型」とは、16年の地震で<動物園からライオンが逃げ出した>という類いのもの。

「ヘイト型」は、反日的だと炎上し8月に中止になった「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」で、安倍晋三首相と菅義偉官房長官と見られる人物をハイヒールで踏みつけるオブジェが展示されているというウソの情報がネットで流れたタイプだ。

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