「勘違い型」の典型は、昨年6月に起きた大阪北部地震で<京セラドームの屋根に亀裂が入った>という書き込み。ドームの屋根に取り付けたメンテナンス用の足場とはしごが、遠目に「ひび」のように見えただけだった。
同社の村上建治郎社長によれば、最近は「オオカミ少年型」は減り、「ヘイト型」や「勘違い型」が増えていると話す。
「オオカミ少年型が減ったのは、過去の災害時のデマなどを教訓に情報を見る人のリテラシーがそれなりに高くなり騙されなくなったから。一方でヘイト型が増えているのは、ネットでの発信は自分には実害がないので相手を攻撃しやすいから。勘違い型が多いのは、ネットという性質上、自分の好きな情報ばかりにアクセスし多面的な情報を得ることをしなくなったからだと考えられる」
デマはなぜ拡散するのか。
大阪大学大学院の三浦麻子教授(社会心理学)は、「なぜそうなったか?」の原因を探したがるメンタリティーが、人間の「不確実な情報を信じてしまいやすさ」に時としてつながり、それが社会的に見れば、たびたび流れるデマになっていると分析する。
「強い感情を伴う情報は目に留まりやすくまた伝播しやすいですが、特にネガティブでアクティブな怒りや憎しみの方がその傾向は顕著。人間は自分の身に危険が及びそうな情報には誰しも敏感だし、人にも知らせるべきと思うから、結果的に『ヘイト型』の情報は目に留まりやすく伝播しやすくなります」(三浦教授)
デマと言えば、災害と切っても切り離せない。
先に紹介した熊本地震で<動物園からライオンが逃げ出した>といったデマの他にも、今年2月に北海道厚真町を襲った震度6弱の地震では、
<地震の原因は北海道大の核実験らしい>
といった全く根拠のない悪質なデマがSNSで流れ、北海道警察は警戒を呼び掛けた。
災害時にデマが拡散しやすい理由を、先の村上社長はこう語る。
「災害時はどうしても情報を受け取る手段が限られ、不安を抱く人々の中で広がりやすい。そのため、『オオカミ少年型』のデマが多くみられる」