舞台では、作、構成、演出、製作総指揮といったかたちで腕を振るった。公演中は毎日のように劇場に通い詰め、完成度を上げるため、細かく演出の指示を出したといわれる。13~14年に「ジャニーズ2020ワールド」に出演したHey! Say! JUMPの薮宏太さん(29)はAERAの取材でこう語っている。

「(ジャニーさんは)どうすればステージがよくなるかばかり考えている。あまり、ああしろ、こうしろとは言わず、自由にさせてくれます。ただ、めったに褒めてはくれませんし、毎日のように演出の変更があったので、全然満足してはいないでしょうね。満足しないからこそショーを作り続けているのだと思います」(14年3月3日号)

 歌、ダンス、アクロバット的なパフォーマンスや殺陣が盛り込まれた華やかな演出がジャニーさんの舞台の特徴だ。だがそのなかに、必ずと言っていいほど込められているメッセージがある。平和への願いだ。

 Sexy Zoneの佐藤勝利さん(22)は、AERA(14年3月3日号)のインタビューでこんな話をしている。

「僕がまだジャニーズJr.の頃です。8月、僕たちを集めて話をしてくれました。戦争が終わったばかりの日本には何もなかった、と。たとえば、いまはビルがいっぱいの渋谷も見渡す限り焼け野原だった、と。その後もずっと食べ物がなくて、ジャニーさんが子どもたちにチョコレートをあげたという話も聞きました。少しでも子どもたちに笑顔になってほしいという気持ちだったそうです。ジャニーさんの話を聞き、いま、こうして僕たちがショーを作っていることも、平和を思って戦争が少しでもなくなればと願うことと、人々が笑顔になれるものを作るという点で重なるものがあるかと思います」

 ショーを作ることで、世界を変えたい。エンターテイナーとしての精神は、多くのタレントに受け継がれた。ジャニーズのコンサートや舞台は、タレント自ら演出やプロデュースに関わることで知られる。堂本剛さん(40)は次のように語っている。

「(プロデューサー的な)そういう役割を頂いていたのは事実ですね。ジャニーさんがそういうふうにしてくれたので。もちろん周りの方の力も大きいですが、現場でものを作っていくのは楽しいですね。言われたことをやるだけだと、つまらないですから」(週刊朝日17年7月21日号)

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ジャニーさんへの憧れ