強豪国南アフリカを破った前回大会から4年。前回の登録メンバー31人中、約20人が入れ替わり、戦い方も変化した(撮影/築田純)
強豪国南アフリカを破った前回大会から4年。前回の登録メンバー31人中、約20人が入れ替わり、戦い方も変化した(撮影/築田純)
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 ラグビーワールドカップ2019日本大会まであと1カ月。前回大会で大躍進した日本代表はこの4年間でどう進化したのか。初の8強入りを目指す日本代表の強さには「理由」がある。

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 9月に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会まであと1カ月。日本代表は7、8月にW杯への試金石となる国際大会「パシフィック・ネーションズ杯」で格上のフィジー相手に試合の主導権を渡さず34対21で勝利し、続くトンガ戦では41対7と圧勝するなど、初のW杯8強入りへの期待も高まっている。前回大会では強豪南アフリカ相手に「スポーツ史上最大の番狂わせ」と評される大金星を挙げた日本代表は、今大会はどんな戦いを見せてくれるのか。

 まず、4年前とは戦い方が変化した。前回大会で日本代表を指揮したエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)時代は、ボールをできる限りキープし、テンポよくパスを回しながら陣形を整えて攻め入るラグビーだったが、2016年に就任したジェイミー・ジョセフHC(49)はボールを持ち続けずにキックを多用。意図的に陣形が崩れた状況(アンストラクチャー)を作り出し、相手の防御ラインが整わないうちに攻める。ただ、混沌を得意とするフィジーとの一戦では「相手にチャンスを与えるような動きをしたくなかった」(ジョセフHC)とキックを封印。相手や試合展開に応じて最良の戦術を選んで戦える。

 W杯に3度出場し、今大会のアンバサダーを務める桜庭吉彦さん(52、釜石シーウェイブスGM)は、日本代表の進化について「選手たちがより主体性を持ってプレーしている」と話す。実際、トンガ戦では母親の死でジョセフHCが戦列を離れる中、選手が一丸となって勝った。

 W杯は31人しか選手登録ができないため、今代表には役割を掛け持ちできるよう選手に求めてきた。フィジー戦では松島幸太朗(26、サントリー)が本職のフルバック(FB)ではなくウイング(WTB)に入り、本職がセンター(CTB)のウィリアム・トゥポウ(29、コカ・コーラ)がFBに入った。そのほかにもナンバー8の姫野和樹(25、トヨタ自動車)もロック、フランカーもできる。

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