


「どないや、元気にしてるか?」。特に仲良くなくても、距離感が近め。そんな関西弁のビジネスパーソン、あなたの会社や取引先にもきっといるはずだ。職場で使われる関西弁って、正直どうですか。
* * *
両親ともに関西出身で、自身は京都で生まれ育った40代の会社員の男性は、就職して最初の職場に配属されたとき、直属の上司から衝撃的な一言を投げかけられた。
「おれ、大阪嫌いなんだよ」
男性は18歳の時に上京し、このときすでに4年間を東京で過ごしていた。ただ、大学のサークルでも周りに関西人が多く、バイト先のキャップも関西人だった。東京に来てからそれまで特にカルチャーショックはなく、関西弁を隠そうという気持ちもなかっただけに、ダメージは大きかった。
「恐怖でした。最初は小さくなって過ごしていました」
その後男性は、ビジネスモードの時には標準語を話すことで、人格も含めて切り替えられるようになった。
「ですので、逆に関西弁でビジネスの話はしづらいです」
ビジネスシーンにおける関西弁に関してAERAネット会員にアンケートを取ったところ、多くの意見が寄せられた。
大阪の岸和田生まれ、岸和田育ちでエリア誌「ミーツ・リージョナル」の編集長を長年務めた江弘毅(こうひろき)さん(60)はこう語る。
「私の場合、相手を見ながら全体の調子やフレーズを標準語に直したりしますね。『伝わってるのかな』と気にしながら塩加減を見る感じです。こっちの土俵に引っぱり込むときは、標準語的に話しているのを急に大阪弁にしたりします」
関西弁がビジネスの潤滑油として効果的な例だが、まったく逆のパターンもある。
「『やんなー』『ですねー』ができないんですよ」
そう語るのは関西資本の企業に勤務する40代の女性だ。勤務先は東京・新宿だが、社内共通語は関西弁。関西人の間では、目上の人に「やんなー」と言われたら「ですねー」と返す暗黙のルールが存在するという。女性は、当意即妙に「ですねー」と返せないことに悩んでいるのだ。