ブースはNHKホールの一角にも設けられた。即座に撮って出しとはいっても、アーティストの所属事務所の許諾も必要になってくる。

「普段からお付き合いのあるアーティストの方も多いですし、ずっと前からご協力をお願いしていました。そのかいもあって、確認作業は非常にスムーズに進み、早ければ30分以内にWEBにアップできました。You Tubeに上げたら、その動画をツイッターでお知らせするなど、素早く拡散することも心がけました。できるだけ鮮度の高いうちに編集して撮って出しできるように、作業部屋には常に10~20人くらいがスタンバイしていました」(増澤さん)

 一方で、アーティストの出てこない紅白を撮影したのは佃さんのチームだ。NHKホールは改装中だったため、同ホールで紅白を開催したのは2年ぶり。佃さんはステージや照明、舞台セットが出来上がっていく様子も撮った。

「地下からステージがせり上がってくるところから、だんだんと舞台が出来上がっていくところまで、タイムラプスで定点観測し、50時間分をぎゅっと凝縮して1分間の動画にしました。舞台裏はすごくエネルギッシュで、いろいろな発見や感動があった。生放送を見せるだけではもったいないので、裏側もどんどんみせて、いろんな角度から撮影して、届けたつもりです」(佃さん)

 放送の裏側まで見せて視聴者との「シェア」を試みた紅白。

 放送後、面白いことに気づいた。You Tubeに投稿したアーティストの再生回数と、リアルタイムのアーティスト別の瞬間視聴率が大きく異なっていたのだ。

 You Tubeで最も再生回数が高かったのはSEKAI NO OWARIで、約270万回。若い世代やK-POPのアーティストが上位を占めた。

 一方、リアルタイムでは、世帯別瞬間最高視聴率(関東地区)で1位だったのは福山雅治で、「桜坂」を歌い終わる午後11時39分に39・5%(ビデオリサーチのデータを元に算出)を記録した。幅広い年齢層のファンの多い歌手が上位を占めた。

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「生放送をずっと視聴するのが難しい」