この5人を中心に、約20人がプロジェクトに参加。それぞれの得意ジャンルで、You Tube「NHK MUSICチャンネル」、ツイッター、インスタグラム、LINEへの投稿を活発に行い、「シェア紅白」を盛り上げていった。
「一番インパクトが大きかったのは、昨年11月にYou Tube『NHK MUSICチャンネル』を立ち上げたことです。You Tubeは10~30代のテレビを見ない世代が接触するプラットフォームでもあるので、そこに自分たちが面白いと思うコンテンツをどんどん投稿しました」(羽村さん)
NHKには、登録者数390万人を誇る公式チャンネル(2007年7月開設)があるが、そこにもう一つ、音楽専門チャンネルとして11月16日、紅白出場歌手を発表する記者会見の日に「NHK MUSIC」を立ち上げた。
同チャンネルでは、出場アーティストの歌やインタビュー、番組の舞台裏などを配信していった。
紅白本番が近づく同年12月中旬からは、投稿数がどんどん増えていき、紅白関連の投稿だけで約200本にのぼった。その結果、登録者数は約10万2000人(23年3月10日現在)に増えた。デジタルプロデューサーの佃さんは言う。
「お祭りが近づいてくる感覚のようなものを醸成できたのではないかと思います。最初はそんなに興味がなかったけれども、お祭りのやぐらが徐々に出来上がっていくのを見ているうちに、ちょっとワクワクしてくるような、そういう雰囲気をつくっていけたらと思っていました」
紅白の生放送中にも、出演が終わったアーティストの歌唱シーンを1分ほどに編集して、YouTubeやツイッターなどにアップしていった。生放送中の涙ぐましい努力を、スタッフの一人はこう語る。
「本番で流れている映像を録画しながら、リアルタイムでカットしていく部隊と、1分の動画にしてアップするために編集する部隊とに分かれて作業しました。それぞれがいくつかのブースに分かれて、個別のブースで集中して作業していました」(浜田さん)