ナビタスクリニックは、すでに昨年9月からアフターピルのオンライン処方に踏み切っている。現在、月200件ほどある処方の約1割がオンライン経由だ。利用者は、産婦人科の予約がいっぱいで受診できない、仕事を急に休ませてもらえない、夫が避妊に協力してくれないなどの事情を抱える。レイプされたという女性もいた。

 久住医師は、アフターピルはオンライン処方だけでなくOTC化の必要もあると言い、「医師が処方しなければならない科学的な根拠はない」とする。

「堕胎薬ではなく、プロゲステロンというホルモンと同じ働きをする薬。排卵を遅らせ、子宮内膜の状態を変え、着床しづらい状態にします。副作用は頭痛や吐き気、胃の痛みなど一過性。将来子どもがほしいときに障害になる薬ではありません。OTC化すべきです」(久住医師)

 日本では17年に厚労省でOTC化が検討され、パブリックコメントで9割以上が賛成だったが、見送られた。

「『日本は性教育が進んでいないから、安易な使用が広がる』という理屈はあまりにおかしい。妊娠は女性単独では成立しない。妊娠の責任を女性一人で負わなければならない状況を、少しでも軽減すべきです。アフターピルが広がると『女性の性生活が乱れ、性感染症が増えるのでは』などと言う人に、知ってほしいことがあります。アフターピルが市販されても性感染症は増えなかったという海外の報告があります」(久住医師)

 女性クリニックWe!TOYAMA代表の種部恭子医師もOTC化の必要性を語る。

「アフターピルを必要とする背景には、DVやレイプ被害が潜むことも多い。薬局で薬剤師が売るよう制度を整え、必要な人に対面で声をかけるなどして、援助につないでほしい」(種部医師)

(編集部・澤志保)

AERA 2019年5月27日号

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