大手企業に勤める人は、できるだけ長く働くほうが得するケースが多い。全社とは言わないが、東証1部上場企業では社員の資産形成をサポートする福利厚生が充実している。
この女性の場合は社内預金の金利が1.25%、住宅購入を目的とする住宅財形貯蓄は9%(!)と、めったにお目にかかれない有利な条件でお金が貯められる。うらやましい。
「勤務先の貯める仕組みは一般より有利なことが多いので、これからも積み立てを続けましょう。財形は会社を通して一般の金融機関に預けることで利息がつくものなので、念のため金利は再確認を。住宅財形は元金550万円までの利息が非課税ですし、財形住宅融資を受けられるメリットもあります」(同)
住宅財形は用途が住宅購入資金に限られるとはいえ、元本保証でこの金利というから驚いた。
勤務先にこうした有利な制度がない場合、給与天引きの定期預金の代わりに、コストの安いインデックスファンドを利用した世界分散投資にあてるのが王道だ。この女性のように安定した大型優良株を保有しているなら全部を乗り換える必要はないが、もし投資額を増やしたいなら、新たな積み立て分は投資信託に回すといい。海外株式の割合を増やし、長期的な経済成長に乗る作戦だ。
少し気を付けたいのは、大きな病気をしたり、介護が必要になったりしたときの備えだ。今は体力に自信があっても、70歳以降、80歳以降はどうなるかわからない。老後の医療費や万一の入院費は手厚く準備する必要がある。
「現金化しにくい資産はいざというとき困る可能性も。預貯金はもちろん、売却しやすい株や投信も合わせて、キャッシュを多めに用意しましょう」(同)
この女性は預貯金が1200万円あるので、医療保障はなくてもいい。3大疾病特約を重視するなら残してもよい。ただし外貨建ての個人年金保険は見直しの余地があり、解約すれば毎月1万5千円が浮く。このお金を年利回り2%で運用できれば、10年で199万円になる。もちろん社内預金を利用して貯めてもいい。(ライター・森田悦子、編集部・中島晶子)
※AERA 2019年2月25日号より抜粋

