最近取り組んだのが、東京都中央区の兜町のど真ん中にある坂本町公園という小さな公園のリニューアルです。ここは明治時代に東京府が「密集した市街地には新鮮な空気を提供する空地と緑が衛生上必要だ」と考えて、コレラ患者を収容した病院を取り壊してつくった公園です。隣接する小学校の建て替えのため取り壊され、区の案ができていたのですが、町会の皆さんが「納得できない」と訪ねてこられた。それで、子どもたちの意見を取り入れて、広い芝生と小川のある公園にしました。(写真を見せながら)ほら、子どもたち楽しそうでしょ? 遊具を置くより、原っぱで友だちと一緒にトンボを追いかけるほうが楽しいですよね、きっと。

 神宮外苑の当初計画には、あんまり注目されていませんが、青山の入り口に子どもの遊び場があったんですよ。一等地が子どもの遊び場なんです。信濃町の入り口も子どもの遊び場でした。いまでも不思議な山があります。一番入りやすい一等地です。どれだけこの時代の人が子どもを大事にしたかっていうことがわかります。今は駐車場とかになっていますけどね、あの場所を「子どもに返して」って私は思うんです。

石川幹子(いしかわ・みきこ)/1948年宮城県岩沼市生まれ。1972年東京大学農学部卒、1976年ハーバード大学デザイン大学院修士課程修了(M.L.A)、1976~1991年東京ランドスケープ研究所・設景室主幹。1994年東大大学院農学生命科学研究科博士課程修了(農学博士)。工学院大学特別専任教授、慶應義塾大学環境情報学部教授を経て2007年から東大大学院工学系研究科都市工学専攻教授、2013年から中央大学理工学部人間総合理工学科教授・学科長。2019年から中央大学研究開発機構教授。中国の四川大地震復興支援に対し、2020年に四川省都江堰市から最優秀人材栄誉賞を、2022年に成都市から公園都市建設を先導した貢献をたたえるメダルを受けている。

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