そんな刹那さも、グラフィティの魅力のひとつ。ショップのリニューアルをした5~6年前、ちょうど来日したロンドン出身のアーティストD*FACEに店先のシャッターを提供してキャラクターを描いてもらったというセレクトショップ「Time is on」(渋谷区)の店長はこう話す。

「外国人観光客のなかにはグラフィティ目当てで来日する方もいるようで、見せてほしいと言われるのは、日本人より外国の方が多いです」

 ちなみにこの店は、グラフィティが多い渋谷のなかでも、とくに多いエリアにある。

「グラフィティの世界では、自分より上手い作品の上には描かないというルールがあるとか。うちのシャッターも、これまでひどい落書きをされたことはありません」

 一方、違法な場所に描かれた小品を見つけるコツは、ひたすら目視のみ。渋谷や原宿でビルとビルの間のちょっとした出っ張りなどをまじまじ見ると、「世界人類が……」の貼り紙とともに、おなじみOBEYのステッカーが見つかることなんかもあった。

 まだまだたくさんあるが、これらを見つけたら“贈り物”の可能性あり。決して、消してはいけません。(ライター・福光恵)

AERA 2019年2月18日号