国会会期中に議員が出産前の産休をとったのは、05年の高井美穂氏(47)が初めてだった。当時、国会は小泉純一郎首相の提唱した郵政民営化法案が可決されるか否かで攻防が続いていた。

 衆院の本会議で採決があったのは高井さんの出産から1週間足らずのことだった。出席しようか迷ったが、帝王切開の傷口もまだふさがっておらず断念。病院のベッドの上から採決の様子をテレビで見守った。

「もし1票差で可決したら、私の欠席のせいだから、辞任しようと思い詰めていました」

 結局法案は衆院では5票差で可決、参院で否決されて小泉首相は解散総選挙を断行する。高井さんは産後の疲れた体で選挙戦に突入した。選挙区を回りながら、休憩のたびに街宣車から降りてトイレに駆け込んでおっぱいを搾った。ただでさえ選挙戦は大変なのに、髪は抜けてやせ細った。

「いま思い出しても泣けてくるほどのつらさでした」

(朝日新聞編集委員・秋山訓子)

AERA 2019年1月14日号より抜粋

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