
いきものたちのブラックともいえる厳しい生態やオキテを、脱力系のタッチで紹介する『ブラックないきもの図鑑』(朝日新聞出版)が12月14日に発売された。動物たちが自分の言葉で、厳しい現実を嘆き、その解消策となる格言も示される。ガラパゴスペンギンの嘆きとは?
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【ブラックないきものからの悩み】
ガラパゴスペンギンですが…… 親離れの時期なのに、息子が全然自立してくれません(オス・4さい・寒いの苦手)
父親の私が、ヒナの頃にもっとしっかり教育するべきだったのでしょうか……。
息子は3週間前に巣立ちをしたのですが、大人になっても自分で魚をとろうとしません。海には入るのですが、うまく魚がとれないと、すぐにあきらめてしまいます。それで私の後ろにくっついて、まるでヒナみたいにくちばしを上に向けて「魚をくれ~」とねだるんです。
背たけなんか、もう私と変わらないんですよ。いつまでヒナ気分でいるつもりなのでしょうか……。
でも私も、だめだと思いつつ、ついねだられると魚を与えてしまうんですよね。ただ、私もいつまで魚がとれるかわからないし、最近は気温が高くなったせいで魚自体が少ない年もありますから……。この先も息子が親離れしてくれないと思うと、ゆううつ気持ちになります。
■こんな風に生きてます
ガラパゴスペンギンのヒナは、卵からかえると2カ月ほどで巣立ちます。その間に、親の狩りの仕方を見て学ぶのですが、実際は巣立った後も親に魚をねだる子どもが少なくありません。また、気温が高い年は、島周辺の海にいるプランクトン(海に浮かぶ微生物)がいなくなるせいで、それを食べる魚が集まらなくなり、ヒナが全滅することもあります。
■お悩み解消格言
子どもを不幸にするのは、いつでも、何でも手に入れられるようにすること。(ルソー/哲学者)
(文/ラポリ)