2045年には平均寿命が100歳に到達する可能性もある超高齢社会の日本。年金制度の台所事情もどんどん苦しくなっており、年金支給開始年齢を68歳、いずれは70歳まで引き上げようとする動きが着々と進んでいる。
「20年後に困らないためにも若いうちから投資をしたほうがいい」と語るのは、マネックス証券のチーフ・アナリストであり、マネックス・ユニバーシティ長として金融教育も行う大槻奈那さん。
12月14日発売のアエラ増刊『AERAwithMoney 毎月5000円でつみたて投資!』より、大槻さんの老後資金運用に関する考え方を見ていこう。
「日銀のマイナス金利もあって、物価は上昇傾向なのに預金金利はほぼ0%という状況が続いており、理論的には預金だけだと将来の資産価値が目減りするリスクが高まっています。『人生100年時代』は、自分が働くだけではもう限界。投資をはじめて、お金にも働いてもらう必要性が高い時代なのです」
日本人の2人に1人は貯蓄がないという調査報告もあるが、まずは支出を減らすことで貯蓄ができるようになることが大切だ、と大槻さんはいう。
「その貯蓄を投資に回していくことが大切です。国が創設した『つみたてNISA(少額投資非課税制度)』や『iDeCo(個人型確定拠出年金)』といった長期つみたて型の投資優遇制度なら、投資で得た利益を再投資に回し、さらに大きな利益を生むことを目指す複利運用ができます」(大槻さん)
■60歳でいくらあれば幸せか?
投資をする前に、そもそも自分にいくら必要なのかを知ることが先だ。幸せはお金で買えないというものの、お金がないと不幸になる可能性が高いのも事実――。そこで「60歳のときにいくらあれば幸せか?」を大槻さんに聞いた。
「幸せかどうかはともかく、冷静な目で老後にはいくらお金が必要かをまだ若いうちからマジメに考えたほうがいいですね」
大槻さんの示した、そのために必要な条件は次の通り。
(1)何歳まで働いて収入を得ることができるか
(2)60歳もしくは65歳以上の生活費はいくらか
※この金額は今の生活費などから考えて「これだけあれば十分満足」という金額を設定するのが幸せ度数を高めるポイントになる