中学受験で、試験問題は実際どのように変わっているのか。中学受験の専門家であり、文教大学生涯学習センター講師の早川明夫さんは「理科にしても、社会にしても、丸暗記で解けていたような問題が、用語の意味を本当の意味で理解し、頭に入れていないと解けないような問題になっている」と話す。たとえば、「流域面積」という言葉を本当の意味で理解しているか。「基本的人権」とは何か。ここ3年、それを顕著に感じるようになった。丸暗記の教育を受けてきた教師たちの意識も、少しずつ変わってきているように感じている。
「なぜ種子島でロケット打ち上げを行うのか」といったような、理科とも社会ともつかない、教科の枠を超えた、横断的な設問も出てきた。
「私たちの生活には、“考える教材”が溢れている。だからこそ、普段から『なぜか』『どうしてか』を考えることが大切なんです」
疑問を大切にする。その疑問を親も一緒になって考える。
「『これは面白い』と興味を持つようになると、子どもは自分から勉強するようになる。経験に基づいたものは説得力があるんです」
子どもが生きたい人生を生きられるようにと、親たちの奔走は続く。だが、それは親も一緒に成長していくチャンスでもあるのだ。(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2018年12月17日号より抜粋