「インターンは5日程度。最後にプレゼンして『よく頑張ったね』で終わりだが、ビジコンには勝ち負けがある。それがいいんです」(羽田さん)

 本番までの3~4カ月、消費者の視点しか持てなかった学生が、勝つために、生産者の視点でビジネスモデルを考え抜く。最終段階では企業もエース級の人材を投入し、本気でフィードバックしてくれる。その経験が学生を大きく成長させる。

 ビジコンで企業のことを深く調べるうちに、その企業で働きたくなり、結果的に就職にまでつながったケースもあるという。

 新卒採用サービスを手がけるワンキャリアの執行役員で、ベストセラー『転職の思考法』(ダイヤモンド社)の著者、北野唯我さんは言う。

「キャリアについて考えたこともなかった学生に、いきなり数カ月で、入る会社を決めろという今までの仕組みのほうが、ずっと酷だったと思います」

 ルール廃止によって、就活の時期も一律ではなくなる。「説明会もどき」ではない本来の就労体験型のインターンシップや、ビジコンの存在感が高まるのは間違いない。「みんなと同じようにやればとりあえず安心」では通用しない。決めるのは自分自身だ。(編集部・石臥薫子)

※AERA 2018年11月19日号より抜粋

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