「悔しいミスでしたね。でも自分の緊張感と体の動きがすごく合ってきて、感覚としては良い状態になっています」
翌日のフリーは、近畿大会のあと大きく振り付けを変更した。
「やりにくかった振り付けやジャンプ構成は大幅に変えました。最後の3回転フリップはコレオシークエンスの後だったけれど、試合を見た振付師さんが『これはキツイね』と言って、前に組み替えてくれました」
トリプルアクセル2本を成功させ、演技をまとめた。最後のコレオシークエンスは、バランスを崩しながらも勢いで攻めた。
「これもあれもできるんじゃないかと意欲が湧いてきて、『自分もこんな感情になれるんだ』と。自分に希望を持っていられる自分がすごくいいなって」
演技後、長光歌子コーチらに迎えられると「めっちゃ足にキテる」と笑った。
「全日本選手権に向けて、4回転を入れたい気持ちはあります。練習して入れられそうだったら、体調を見つつかな」
そう慎重に答える高橋だが、気持ちと自信は4回転「あり」といった様子だ。
目標は全日本選手権フリーの最終グループ。そのためにショートで6位以内を目指す。
「全日本は羽生選手、宇野選手、田中(刑事)選手、他にもたくさん実力者が出てくる。今回の演技では上にいけないので、少しでも上げていきたいです」
全日本選手権まであと1カ月半。覚醒の時が近づいている。(ライター・野口美恵)
※AERA 2018年11月19日号