
フィギュアスケート男子の高橋大輔が全日本選手権の舞台へと返り咲く。復帰2戦目の西日本選手権で優勝。羽生結弦、宇野昌磨らとの直接対決が実現する。
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「いやあもう本当に『充実している』の一言ですね」
4年前までの現役時代には見せたことのない清々しい笑顔で語るのは、32歳の高橋大輔。西日本選手権で総合244.67点で優勝し、年末の全日本選手権へコマを進めた。五輪メダリストの羽生結弦(23)、宇野昌磨(20)らとの夢の直接対決が実現する。
復帰初戦の10月の近畿選手権大会では、フリーでジャンプミスを連発し、総合3位に苦笑い。8月に左足を負傷し、練習に納得がいかないままでの初戦だった。
「試合勘は取り戻せたので、西日本に向けてすべてをレベルアップしたいです」
そう誓うと、この1カ月は一つ一つ課題を解決していった。
まずは靴の問題だ。4年のブランクの間に、過去に愛用していたスケート靴はモデルチェンジで廃止に。足に合わない靴で近畿大会を迎えていたのだ。
「モデルチェンジしたものはサイズが大きく感じたけれど、使っていました。近畿大会のあと、いろいろ試して良いものが見つかったのでほっとしました。靴を変更してからは細かい感覚をすり合わせながらジャンプの調子を合わせてきました」
トリプルアクセル2本は確実にフリーで入れられるよう、感覚を戻していった。
「4回転ジャンプまではできませんでしたが、プログラムの完成度を高めるほうに集中してきました。近畿のときより滑りに力も出てきて、ジャンプの質、高さや幅、着氷の流れも良くなり、スピンの回転も速くなっていると思います」
しかし練習をしたからこその緊張もあった。
「やっとちゃんと練習して試合に挑めたので、その中でミスしてしまうと(今後の)自信につながらない。そういう意味で近畿よりも緊張がありました」
もちろんファンは高橋に少しでもパワーを送ろうと、大声援を送った。6分間練習では「大ちゃん、がんばー」のコールが、誰かが指揮でもしているかのように揃って響き渡った。
そして本番。ショートの冒頭では高さのあるトリプルアクセルを成功。連続ジャンプは、一つ目の3回転ジャンプが高く上がりすぎて二つ目が乱れるという、好調ゆえのミスがあった。