動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい猫（こ）”を紹介する「今週の猫」。今回は、東京都あきる野市の「春待ち猫」です。
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徳雲院は梅の名寺。近くには川が流れ、メジロが歌う。まるで絵巻のような雅な景色の中に、10歳のルナが佇んでいた。
ルナは住職やそのお父さんと大の仲良し。「こちらに駆けてきてしまうから、名前は呼ばないでください」とお願いして、春の訪れをそっと切り取った。
お寺には「喝」の一字が刻まれた石碑がある。「ネコも悟りを開いていると思います」と、ユーモアたっぷりな住職。さっき座禅堂の座布団の上でスヤスヤと、幸せそうに丸くなっていたことは、秘密にしておこう。
※週刊朝日 2023年3月3日号
岩合光昭
岩合光昭（いわごう・みつあき）／1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982～84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。
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