法務省の法制審議会(法制審)では、盗撮などを取り締まる「撮影罪」を新設する動きが進んでいる。だが、かねて問題となってきたアスリートへの盗撮に関しては「性的意図があるかないかの線引きが難しい」などとして置き去りになっている。この問題を考えるシンポジウムが15日に都内で開かれ、元バレーボール日本代表の大山加奈さんらが登壇。大山さんは自らが経験した被害の実態を語り、この問題に取り組む弁護士らは法整備の必要性を強く訴えた。
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シンポジウムは、犯罪被害者を支援する「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」が開いた。
その中で、この問題に取り組む弁護士や記者、大山さんによるパネルディスカッションが行われ、大山さんは自らの被害経験を語った。
大山さんが盗撮行為があることを知ったのは中学生の時。小学生の時から、選手は更衣室ではなく観客席や通路でユニホームに着替えるのが当たり前だったという。
「中学の時も当たり前に(更衣室ではない場所で)着替えていたら、コーチが血相を変えて『撮られているぞ! そこで着替えるのをやめろ!』と。(着替えを)撮られることがあるのだと、そのときに初めて知りました」
高校時代にVリーグを観戦した際、前に座っていた男性客がカメラで選手を撮影していた。そのモニターには、選手のお尻をアップで撮影した写真ばかりが写っていたという。
「トップに行くと、こういうことも受け入れなくてはならないのかと感じました」
日本代表入りして有名になって以降は、メディアにも性的な部分を強調する形で取り上げられることがあった。
「電車に乗ったら、週刊誌の中づり広告に自分の写真と性を強調した文言があって、(車内の)周りの人にどう思われているのかと気になって、すぐに電車を降りました」
ネット上で、赤外線カメラで撮られた自分の写真を見つけた時は、大きなショックを受けたという。
引退後にアスリートへの盗撮問題について声を上げるようになった大山さん。感謝の声が届く一方で、
「自意識過剰」
「しゃしゃり出ている」
などの中傷的なコメントや、
「そういう(性的な)写真があるならネットで検索してみる」などの陰湿な投稿をされたこともあったという。