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 Touchy Feely(正式名称:Interpersonal Dynamics)は、異なるバックグラウンドを有する相手との間でも、強固な信頼関係を構築可能とするコミュニケーション能力を磨く、ユニークで実践的な授業である。T-groupと称する少人数で、極限までオープンに自らの本音をさらけ出して相手の懐に飛び込み、そのときにおたがいが感じたことを率直にフィードバックしあうことで、相互理解と信頼を深める訓練を繰り返した。そのときの成果を、米国チームに対して試すときがきた。

 リーダーは、米国海軍原子力潜水艦乗組員出身のアル・ホチェバー氏だった。「なぜ、米国チームは、多くの外国人が日本から避難しているなか、東京にやってきて無償での技術支援を申し出てくれたのか」という、ストレートでぶしつけな質問を投げかけた。アルは、筆者の直接的な問いかけを歓迎してくれた。1Fの事故は時々刻々と進展しており、腹の探り合いをしている余裕はなかったからだ。

 アルの回答は単純だった。“We are in the same boat!”世界の原子力の仲間が困っているときに、助けるのは当たり前、ということだった。米国チームの一人が語った、「30年間の原子力キャリアにおいて、今TEPCOを助けることほど重要なミッションはなかった」という熱い言葉は、今でも脳裏に焼きついている。

 米国チームとは強固な信頼関係を構築し、効果的に事故対応にあたることができた。しかしながら、東京電力という会社に対する世間の信頼は地に落ち、事故に関する事実関係についての発表も信用されない状況となっていた。世界中に400基以上ある原子炉で同様の事故が発生しないよう、事実関係と教訓を共有する必要があるにもかかわらず、これは由々しき事態であった。

 そこで、筆者は米国駐在を志願し、2011年9月から東京電力のワシントン事務所を拠点として、事故の事実関係と教訓について、全米で発信する活動を展開した。プレゼンテーションする際は、東京電力の公式見解の解説にとどまらず、あえて個人の体験に基づく心情も吐露することで、信頼と共感を得ることができた。ここでも、Touchy Feelyのスキルが大いに役に立った。駐在中の4年間で、209回、のべ1万人以上に対して、直接発信し、米国の産官学の関係者に、広く事故に関する正確な知識を普及することに貢献できた。

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