ただ、同じ年収でも子どもの数によって、その子どもにかけられるお金は違ってくる。2番目の見極めポイントは、年間132万円(前出の「学習費調査」で私立中の「学校教育費」と「学校外活動費」の合計)を出せるかどうか。中学受験の塾代も一番かかる6年生が月額10万~12万円と言われているので、ほぼ同額を6年間出し続けられる余裕があればOKだ。

 ただし、3人の子の母で長女の中学受験も経験したファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、きょうだいがいる場合は、さらに入念なチェックが必要だと指摘する。

「特に女の子はそうですが、『上が私立なら下も』となりがち。上の子の受験を決める前に、いざとなったら下の子の分まで払えるか確認しましょう」

 畠中さんは、一人っ子なら年収は最低800万、きょうだい2人なら1200万円はないと、大学費用が貯められなくなると警告する。大学にかかる費用は一人約500万円。生まれた時から学資保険などで積み立てておくのが理想だが、最近では、先々まで考えずに私立中高一貫に行かせた結果、大学では奨学金に頼らざるを得なくなるケースが続出しているという。

「親の老後資金まで犠牲にして中学受験させる家庭もありますが、それが本当に親子にとって幸せか、よく考えて」とも。

 祖父母などからの支援が期待できる人もいるだろう。気をつけたいのは、大学進学までの6年間、必要なお金を本当に最後まで受け取れるかどうかだ。

「祖父母が元気な時に資金提供の約束はしたが、のちのち介護などでお金が足りなくなり、孫がせっかく入った中高一貫を退学せざるを得ないというケースもある」(畠中さん)

 この先は、いよいよ「子どものタイプ」と「親の価値観」との組み合わせによる受験パターンの診断だ。まず家計的に、私立中受験が可能なケースから。子どもが受験適性の高いAタイプなら「私立進学校」に向かって一直線、と行きたいところだが、いったん立ち止まろう。

 高濱さんは、中学受験をさせるか否かの判断基準は「子どもの将来の幸せにつながるかどうかの一点に尽きる」と言う。我が子の幸せとは何なのか。ここでは一つの例として「中高の6年間はハイレベルな仲間と切磋琢磨してほしい」という考えを基準にしてみた。

次のページ