西野朗が日本代表の監督に就任したのは今年4月。国内最後の壮行試合ガーナ戦は0-2、欧州キャンプで対戦したスイス戦も0-2の敗戦。メンバーを大幅に入れ替えたパラグアイ戦は4-2でようやく初勝利を収めた。
【写真】ポーランド戦後、攻守に活躍したDF酒井宏樹と握手を交わす西野監督
期待感が高いとは言えない状況で臨んだワールドカップロシア大会で、日本は世界に衝撃を与えた。初戦でコロンビアに2-1で勝利。開始早々に相手選手が退場となり1人少なくなったとはいえ、FIFAランク16位を61位が倒したのだから世界が驚いたのも無理はない。
3戦目、ポーランドには0-1で敗れたものの、同組のもう1試合でコロンビアに0-1で敗れたセネガルと日本の2チームが勝ち点、得失点差、総得点のすべてで並び、わずかに警告数2の差で日本が2位に。綱渡りではあったがグループステージを突破して、2大会ぶりのベスト16進出を決めた。
そんな西野の采配についてキーワードを挙げるとすると次の三つになる。
まず勝負に徹する「リアリスト」だ。初戦のコロンビア戦、1-1で迎えたハーフタイム。選手からは「ドローでもいい」という意見が出た。しかし西野は「勝ちにいく。勝てる試合」と選手に伝えた。数的優位な状況を最大限に生かし、「前半以上に動いてコロンビアの選手のエネルギーを失わせる」(西野)ことで勝利をたぐり寄せた。
二つ目は「ブレない姿勢」だ。それがあるから、選手も指揮官に絶大な信頼を寄せる。初戦を2-1で勝利したものの、左MF乾貴士は得意のドリブル突破が相手の長いリーチに引っかかり本領を発揮できなかった。守備でも対応が後手に回り、屈強なフィジカルを誇るセネガル相手では苦戦が予想された。
しかし西野は初戦と同じ先発メンバーでセネガル戦に臨んだ。そして乾は1得点1アシストで2-2のドローに貢献する。「30歳で(W杯は)初めては遅いかもしれない。選んでもらえたので、しっかり恩返ししたい」と、監督の起用に応えた。