上の子(一番っ子)、中間の子(間っ子)、末っ子、ひとりっ子。同じ家族の中で育っているのに、なぜ性格や行動は異なるのでしょう? この「生まれ順の不思議」を心理学の面から解明した学問が、国際基督教大学教養学部教授の磯崎三喜年先生が研究する「きょうだい型人間学」。
今回は、みんなのアイドル的存在「末っ子」。このお茶目さんを伸ばすのは、どんな接し方?
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幼いころからみんなのアイドル。つねにかまわれて、いじられて、それが当然のこととして育ったのが末っ子です。親も子育てに慣れて余裕があるので、よくも悪くも肩の力を抜いて向き合えます。すると、一番っ子にはなかった甘やかしも末っ子は享受することができるのです。そこで育まれていくのは「お気楽」「茶目っ気」といったキーワード。末っ子ならではの無邪気さ、素直さが伸びていくのです。
しかし、そんな末っ子も、幼稚園や保育園で「まわりは、自分にだけ注目してくれるわけではないのだ! 家では中心人物だったのに!!」と、衝撃の事実を目の当たりにします。そこで身につけるのが、新たな特性「サービス精神」。ウケをねらったり、お茶らけた態度で注目を集める作戦に打って出ます。末っ子は、こんな「人生戦略」を、幼児期から身につけていくのです。
こうした末っ子の行動は、実に効果的。いつでもみんなの視線を浴びて、集団の中心的存在となり、カリスマ性さえ発揮します。そういえば、タレントのタモリさんやビートたけしさん、ダウンタウンの松本人志さんも末っ子です。
また、生まれた時から面倒を見てくれるきょうだいがいるのも、末っ子の強みです。自分の立ち位置を心得ているので、困ったときは「なんとかして~」「ひと口ちょうだい!」と素直にお願いできる、甘え上手。抜け目がない、ともいえるでしょう。
また、末っ子は大人よりも、自然と年齢の近い兄や姉と接する時間が多くなります。これが、社会的な枠組みや評価にこだわらない自由な考え方、行動に繋がっていきます「こんなことしたら迷惑かな」なんて考える前に、即行動。幼児期に自分で前髪を切っちゃった!なんて突拍子もない事件を起こすのは、末っ子の得意技なのです。