意見書は通常、大きく3つの項目に分かれている。
まずは、技術について。職務に合った能力があるかどうかを評価する。主に、専門知識や創造力、コミュニケーション能力、プレゼンテーションスキル、実行力などのチェックが行われる。面接官のノートに書いてもらいたい自分の能力を面接時に繰り返し強調しよう。このとき、他の応募者にはない自分ならではのスキルを“ストーリー仕立て”で伝えるとなおいい。単語を覚えるのは難しいが、ストーリーなら記憶に残りやすいからだ。
2つ目は、ソフトスキルだ。主に性格や開放性、態度、価値観などをチェックする。この項目は、特別に優れた部分を選ぶのが容易ではないため、目立った点を報告書に記入する場合が多い。そのため、悪目立ちする発言や行動がないように気をつけたい。面接官がしきりに首をかしげたり、眉をひそめたりするような状況にならないだけでもひとまずは成功だ。
それでも、キーワードを1つ印象づけておきたい。とてもポジティブな人だとか、おもしろい人、他の応募者の話に熱心に耳を傾ける人、など。自分について、面接官に覚えておいてほしいソフトスキルを印象づけるようにする。ただ漠然と「いい人だった」という印象だけでは足りない。面接官の記憶に残る何かがなければならない。
最後はリーダーシップ。会社の長期的なビジョンのためにかなり重視されるスキルだ。成長のポテンシャル、ビジョンを提示して問題を解決する能力、チームワークと協業のスキルなどを主にチェックする。面接官が意見書に記載できるように、リーダーシップの高さを裏付ける具体的なエピソードを用意しておこう。
【3】最後の5分で好印象を残す
心は記憶の産物だ。人間は論理的でも合理的でもない(そう見せかけているだけ)。それに、とても感情的で情緒的だ。そのため、政治や経済、マスコミ、広告などはすべて感情を刺激して、人々の心を動かすことに焦点を合わせる。
認知心理学の巨匠ダニエル・カーネマンが提唱した「ピーク・エンドの法則」は、面接にもあてはまる。ある出来事についての人間の評価や印象は、何を記憶するかにかかっているという法則で、この記憶に最も大きな影響を及ぼすのは、感情が昂った絶頂の瞬間(ピーク)と最後の瞬間(エンド)だという。つまり、終わりよければすべてよし、ということだ。