気象庁は現在、全国約270箇所にある地震計に加え、国立研究開発法人防災科学技術研究所の地震観測網(全国約800箇所)を利用し、緊急地震速報を出しているが、そもそもP波を捉えられなければ緊急地震速報は出せない。また、P波とS波が同時に到達することもあるようだ。
「緊急地震速報は地震の前に来るものと感じていらっしゃる方も多く、地震のあった17日には国民の皆様から『なんで揺れてから鳴るんだ』などとお叱りの声も頂きました。緊急地震速報を発表してから強い揺れ(S波)が到達するまでの時間は数秒から長くて数十秒で、震源に近いところでは速報が間に合わないのが現実です」(気象庁担当者)
今回の大阪の地震では地震を検知し、緊急地震速報を発表するまでの時間は3.2秒だった。一方、震源は13キロと浅く、緊急地震速報を発表した大半の地域に先に揺れが到達した。
ただ、気象庁の担当者は揺れてから鳴る緊急地震速報にも意味はあると話す。
「揺れがまだ小さい段階であれば避難したりすることができます。緊急地震速報が鳴ることで大きな地震だと自覚し、落ち着いて行動することができます」
地震予知でない以上、地震の事前緊急速報の実現は難しいが、気象庁では従来の手法に新しい予想手法(PLUM法)も取り入れ、精度の向上に努めているという。(AERA編集部・澤田晃宏)
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