親亡きあと、きょうだいに負担が…(※写真はイメージ)
親亡きあと、きょうだいに負担が…(※写真はイメージ)
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 NHKの特集で話題となった「アラフォー・クライシス」。“不遇の世代”と呼ばれるアラフォー世代が抱える問題は、まさに現代日本が抱える闇に他ならない……。収入が少ないために親と同居せざるを得ない人が増えている。親が“防波堤”となっている間は問題が見えにくいが、親亡きあとはそのきょうだいに負担がかかることも。朝日新書『きょうだいリスク』から問題を考える。

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 総務省統計局の「就業構造基本調査」によると、日本における非正規雇用者の割合は、1984年の15.3%から2014年の37.4%まで、大きく上昇している。いまや、労働者の3人に1人以上が、非正規労働者として働いているわけだ。

 無業者も増えている。15~34歳のうち、通学、家事を行わず求職活動をしていない、もしくは就業を希望していない「ニート」が2012年時点で61万7300人(就業構造基本調査)。また、ニートの高年齢化も指摘される。経済学者の玄田有史・東京大学社会科学研究所教授が「中高年ニート」(35歳以上49歳以下の人々で仕事を探していない無業者)を就業構造基本調査を使って計算したところ、2002年の時点で49万人に達していた。

 さらには「生涯未婚率」が上がっている。「生涯未婚率」とは、50歳時の未婚率を算出したデータであり、国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」(2014年)によると、2010年の生涯未婚率は男性が20.14%、女性は10.61%だった。そのうえ、70、80年代に比較すると、離婚率も上がっている。

 非婚社会の将来像として、2030年には、現在30代半ばの若者が50代となり、50代男性の4人に1人弱が一人暮らしになると予測されている(みずほ情報総研が総務省「国勢調査」(実績値)と国立社会保障・人口問題研究所編「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」による将来推計に基づき算出)。

 一人暮らしの中高年が増える一方、支え合う「資源」としてのきょうだいの数は、少子化で減っている。自立できないきょうだいがいれば、それを一人で支えなければいけないという構図は、容易に起こり得る。

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