何か作品を作るときには、どういう状態で作るかということが影響してくるから、いかにその人にとっていい環境を作るかということが大事だと思う。そのためには、コミュニケーションを怠らず、話し合いだったり、歩み寄りだったりが必要で、いい環境の中での仕事は本人が一番輝くし、素晴らしい作品が作れるんじゃないかな」
これまで、希子さんが社会的な発言をするたびに、応援のコメントと一緒に偏見だらけの批判もたくさんきた。
「いい声にも、批判にもずっと耳を傾けてきました。誹謗中傷のコメントも、『もうこれ以上は気持ち悪くて無理』と思うまで読むようにしています。コメントもあえて消していません。どういうことが起きているか、全部知ってほしいから。炎上のたびに国籍のこと(編集部注・希子さんの父はアメリカ人、母は韓国人)で色々言われていたけど、ある時、人それぞれ価値観が違うし、全ての人に自分を理解してもらおうとしても難しいなと感じて、私の存在自体があなたにとってストレスなら仕方ない、という気持ちになったんです。それからはもう、何と言われてもそういう批判に心を動かされることはなくなった。傷つくこともあったけれど、最近は以前に比べて応援の声が増えてきて、それがすごく嬉しい。でも『もっと言って』と、みんなに託されている気もちょっとしていて(笑)」
(ジャーナリスト・速水由紀子、編集部・大川恵実、写真部・東川哲也)
※AERA 2018年5月14日号より抜粋