開発でも、直接的な快感よりも、女性が自らを俯瞰してしまわないような没入感のある、ストーリー性のあるデザインを意識した。こうした試みが奏功し、16年ごろに1千円台で購入できる低価格商品を出したタイミングで一気に女性の認知度が高まった。ユーザーからは、
「自分ですることに対して、罪悪感がなくなってきた」
「性欲を自分でコントロールできるようになった」
といった声が寄せられるように。折しも、15~17年は、デリケートゾーンケアブランドが相次いで登場したタイミングとも重なる。
「女性器=見てはいけないタブー」ではなく、積極的に向き合いケアすべき場所という認識も徐々に広まってきた。
それでも「受け身」の傾向は根強い。同社が17年に実施したアンケートでは、「女性用アダルトグッズを使ったことがある」という人にきっかけを問うと、最も多かったのが「パートナーからの提案」(64.5%)。また、「どのようなきっかけがあれば購入したいか」という問いでも「パートナーからの提案」(39.0%)を購入理由に挙げた人が最も多かった。
(編集部・市岡ひかり)
※AERA 2018年5月14日号より抜粋

