宇宙にひかれたのは、小学生のときに読んだアインシュタインの相対性理論の漫画本がきっかけ。中学生になって名著『ホーキング、宇宙を語る』に出合い、宇宙理論の世界に導かれた。
「流れ星って人工的につくれるんじゃない?」
01年、しし座流星群を一緒に見た大学の友人たちと交わした何げない会話が、ビジネスのヒントにつながった。学生時代に起業したゲームアプリ制作会社で、「科学はエンタメと融合すると、すごいパワーで世の中に浸透する」ことを肌で感じ取った。
大学院を出た後、就職先に選んだのはゴールドマン・サックス証券。大好きな科学の世界に、お金が流れるようにするノウハウを学びたい、と思った。
岡島は大上段に構えない率直さや快活さで仲間を引き寄せる。ALE設立後も協力者はどんどん広がり、13年には都会でも肉眼で観察できる3等星の明るさの流れ星を宇宙航空研究開発機構(JAXA)の実験施設で生み出すことに成功。青、緑、オレンジの発光技術も確立した。東京五輪が開かれる20年春に広島上空での初披露を目指す。
「蓄積した技術的基盤は娯楽的な活用にとどまらず、自然界の隕石や流れ星のメカニズム解明などに生かし、科学発展に寄与したい」。そんな思いが岡島の根底にある。(文中敬称略)
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より抜粋