千葉商科大学の専任講師で、一橋大学在学中はプロレス研究会の会長を務め、当時は「ルー・テーズ式のへそで投げるバックドロップができた」という常見陽平さん(43)は、1980年代から90年代にかけて起こったプロレスのパラダイム転換の影響が大きいという。

「それまでのプロレスといえば、テレビ放送があり、巡業をし、道場も持っている、というもの。それがUWFやFMWといった新団体の登場で、すべてナシでもOKということになり、参入障壁が劇的に下がりました」

 その後、エンターテインメントに対する観客の志向が参加型にシフトし、地下アイドルのブームも起こる中、文化も東京一極集中ではなく、身近で自前のものを評価する軸も生まれた。プロレスはこのような潮流を先取りしていたと言える。(編集部・小柳暁子)

AERA 2018年3月26日号より抜粋