「その意味で、今回の平昌五輪は日本人が器の大きさを見せてくれた。正しい成長ベクトルで育つ選手が出てきた」
特に高橋さんが着目するのは、「グッドルーザー(良き敗者)」。負けても号泣したりせず、自分を負かした相手をたたえて敗戦を冷静に振り返ることができる選手たちだ。
平昌五輪で女子スキージャンプの高梨沙羅(21)は「私はまだ金の器じゃない」と言い、ノルディック複合の渡部暁斗(29)は骨折していたことを言い訳にしなかった。冒頭の平野は「さらに上があるってことはいいこと。また新しい目標が見つかった」と話した。高橋さんの、
「同じ素質なら楽しんでいるほうが勝つ。楽しむ選手のほうが主体的で、考える力も育つ」
という言葉が説得力を持つ。(文中一部敬称略)(ライター・島沢優子)
※AERA 2018年3月26日号より抜粋