「コーチも選手も、主体的に学ぶ楽しさを味わっているように見えた。それは、米国がユースから、バレーを楽しむことに主眼を置いているからだと思う。少しでもここに近づけたら」

 日本で「エンジョイ」といえば、思い出すのは、1月に全国大学ラグビー選手権で9連覇を遂げた帝京大学ラグビー部だ。

 20年も前から「エンジョイ&チームワーク」をチームのスローガンに掲げている岩出雅之監督(60)は、部の雑用を下級生ではなく責任感が増す上級生に担わせるなど、ストレスのない環境作りにも取り組む。

「昔は選手が苦しそうで、やるなら楽しもうと呼びかけたのが始まり。当時はしかられて育ってきた選手が多く、エンジョイが生きた言葉として伝わりにくかったし、僕自身も未熟だった。少しずつ楽しむ文化に変わっていった」

 と振り返る。人や組織とともに、言葉も熟成されたのだろう。

 20年東京五輪は、「スポーツは人を成長させる」を実感できる大会にしたい。(文中一部敬称略)(ライター・島沢優子)

AERA 2018年3月26日号より抜粋