平昌五輪では惜しくも5位入賞となったスノーボード女子アルペン・竹内智香選手が「AERA」で連載する「黄金色へのシュプール」をお届けします。長野五輪を観て感動し、本格的に競技をスタートした竹内選手の日々の様子や思いをお伝えします。
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3月3日、トルコでのW杯に出場しました。結果は予選敗退となってしまいましたが、平昌五輪が終わってちょうど1週間後、私はすでに次なる戦いのスタートを切りました。
平昌で5位に終わったその日の感情は、思いのほかスッキリとしていました。夜にはチームのみんなで焼き肉を食べに行って、みんなでワイワイと騒いで過ごしました。もちろん金メダルを欲しかった気持ちは一番にあるし、その悔しさは残っています。でも4年間やってきたことに嘘はなかったし、韓国にもたくさんの日本人が観に来てくれたことがうれしかったです。悔しさとうれしさと満足感、何か全ての感情が詰まったオリンピックです。
そして日が経つにつれて、今までの競技人生の有り難さや、5大会出ることの難しさ、さらにはメダルを取ることの難しさを深く感じています。きっと、4年前にソチ五輪で銀メダルを獲得した時点で引退していたら、私はオリンピックという舞台をもっともっと甘く見ていたのかもしれないなと。もちろんそれまでもいろんな苦しい思いや経験をしたから、4大会目でメダルを獲得できました。でも自分の中ではどこかトントン拍子で取れた感覚もありました。
今回、初めて金メダルという一つの目標を定めてやったことで、オリンピックでの戦いが、そしてメダルを取ることがどれだけ難しいことなのかをあらためて感じられました。長年現役生活を続ければ続けるほど、いろんなことが見えてきます。自分だけではなく、他の選手やライバルもみんな必死になって戦っている。その思いもまた、今回のオリンピックはひしひしと感じられた大会でした。
そして、一人の日本人競技者として思うこともあります。他のスイスやオーストリアのトップ選手とは違い、私はゼロから歩み出し、強豪国の人たちと出会い、彼らにも育ててもらって、そして日本に帰ってきてからは皆さんに応援されてきました。ここまで世界中の人たちに応援された日本人アスリートも、そんなに多くはないのかなと思います。そんな自負をしっかりと感じられましたし、そんな競技者の一人になれたことは、すごく幸せなアスリート人生だなと思います。
何か、まだまだ語り尽くせないことがあります。次週もこんな私の感情にお付き合いいただけたら幸いです。
(構成/西川結城)
※AERA 2018年3月19日号